2011/04/01

マクロの障害を前提とした安全なシステムとしての原子力発電とは?

今回の津波による天災と、それに続く原子力発電所の事故を、色々勉強していて、サブプライムにおけるクレジットデフォルトスワップ(CDS)の問題と、よく似ていることに気づいた。二つのシステムとも、確かにシステム全体に対して「小さな障害」には耐性がある。しかし、システム全体に対してある一定以上の「大きな障害」があった場合、もう止める術を持たない

例えば、原子力発電所においては、小さな障害があった時に中性子を吸収する制御棒を強制的に突っ込むことによって、ウラン238の核分裂反応を止める。しかし、燃料棒は熱いまま、勝手に冷える訳では無いので、その熱を冷却して除かないとメルトダウンする。冷えるまでの間、冷却の為に電気が必要。通常は、発電所の電力ネットワークがまとめて止まることは無いから、お互いに冷却用の電気を供給する助け合いが機能している。しかし、今回の福島第1原発では、ちっこいディーゼル発電を含め電力供給が完全に途絶えてしまい、今回の事故に繋がった。つまり、電力供給が止まることは想定していなかった。要するに、大規模災害が起こったり、発電所の電力ネットワークが全部まとめて止まっちまったら、メルトダウンを止める術は無いってこった。

さて、お次はサブプライムのCDSの問題だ。CDSってのを簡単にいうと、複数の金融機関が、不渡り、倒産、株の暴落なんかで損した場合にお互いに助け合うシステムだ。要するに損害保険みたいなもんだな。金融システム規模に対して充分に小さい規模で、誰かが損した場合には確かに助け合い、保険は効果的だろう。でも、みんなまとめて大損したらCDSは全く機能しないのだな。金融システムに大規模な障害が発生した場合には、全部まとめてパーってこった。

当たり前のことだが、ミクロの障害と、マクロの障害では、その影響の仕方と対処方法は大きく異なる。そしてマクロの障害に対して対処方法を検討していなかったことが、サブプライム問題と今回の原子力発電所の事故の、共通の問題なのでしょう。

これからの設計する原子炉は、相互依存に頼らずに、スタンドアローンで機能し障害に対処できるシステムが必要なのだな。しかし言うは易く行うは難し・・・(汗

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