2010/11/20

民主主義の否定

【産経ニュースより引用】

【from Editor】海上保安官とその息子
2010.11.19 07:27
このニュースのトピックス:from Editor

もう20年前の話になるが、警視庁で捜査1課の担当記者をしていたときのことだ。

ある殺人事件の被疑者のマンション宅に逮捕直後に取材に向かった。逮捕情報を得るのが早かったせいか、他のマスコミ各社はまだ姿を見せていなかった。夜間で静まりかえるマンション。エレベーターを上がって被疑者宅があるフロアの通路を歩いていた。すると、一室から慌ただしく出てきた中年の女性と5、6歳くらいの男の子にばったり出くわした。

被疑者の妻と子供だった。旅行カバンを持った妻はちらりと私を見ると、顔をふせるようにして男の子と足早に立ち去ろうとした。リュックサックを背負った男の子は、プラスチック製の、手提げがついた小さな水槽をぶらさげていた。中にはカメがいた。

カメがいる水槽と男の子の姿を見たら、なぜか声をかけられず、取材の“戦意”も喪失していた。通路の薄暗い蛍光灯の下を行く親子の後ろ姿を黙って見続けた。

20年前の取材の一場面を思いだしたのには訳がある。

沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐるビデオ流出事件で、神戸市内にある海上保安官(43)宅の家宅捜索の様子を伝える記事があった。

現場で取材にあたった神戸総局の記者や掲載記事(12日付朝刊)によれば、11日午後、警視庁の捜査員が家宅捜索に入ると、15階建て官舎の2階にある保安官宅の中からは「嫌だ、嫌だ」という小さな男の子の涙声が漏れてきた。

玄関先には名前入りの子供用の傘やベビーカーもあり、ベランダには船に積まれる救助用のオレンジ色の浮輪があったそうだ。詰めかけた報道陣で騒然とする中での出来事だった。

幼稚園児くらいの男の子と保安官が、仲良く歩く姿は近所の人によく見かけられていた。「海の守り手」である海上保安官のお父さんが大好きだったに違いない。家に見ず知らずの捜査員たちが突然入ってきたときの小さな胸の内を考えると、捜索状況を伝えたベタ記事(掲載段数1段扱いの小さな記事)から目が離せなくなってしまっていた。

海上保安庁の巡視艇に衝突して逮捕後に処分保留で釈放された中国人船長は、本国で“英雄”扱いされ、帰国時に空港で妻と幼い息子に笑顔で出迎えられていた。

片や、任意の事情聴取後に庁舎を出た保安官と年端も行かぬ愛息は“再会”できたのだろうか。(社会部長 近藤豊和)

(以上引用終わり)


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うわぁぁぁん(ToT)

年をとると涙もろくなるのだろうか。うちの息子もカメが好きでな。姿が重なって胸が苦しくなる。

日焼けもせずに手も荒れていない自称漁民と名乗り、ブランドモノを身につける妻を持ち、身なりの良いお坊ちゃんのような息子を持つ、自称船長と名乗る大佐が、本国で英雄扱い。しかし、我々を守ってくれている一人の漢は、犯罪者扱い。

我が国は民主主義国家のはずだ。民衆が国の行く末を判断するのが民主主義。 判断するためには正しい情報が必要だ。彼は海保なら誰でもアクセスできた情報を公開したに過ぎない。しかし、政府は犯罪者扱い。しかも、罪状も決まっていないに海保は彼のクビを検討しているらしい。この国の政府は狂っていないか?

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