まずは以下の記事をどうぞ。
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE8BA02V20121211
有機ELを研究開発している人には悪いんだが、有機ELってものすごく”筋が悪い”と思うよ。筋が悪いってのは,まさに将棋とかでいう”筋が悪い”と同じ意味ね。
少々長くなるが考察してみよう。
画素の構成を考えた場合、二つの方法に大別できる。
(方法1)発光素子+シャッター
(方法2)発光素子自体をON,OFF
液晶ってのは方法1に該当し,有機ELってのは方法2に該当するよね。方法21でシャッターOFFの時、発光素子の発光エネルギーは無駄になってしまうから、そりゃエネルギー効率は悪いわな。また,コントラストという点で比べた場合、シャッターが偏光板の組み合わせでシャッターを構成している以上,”自”発光型にはそりゃ劣るわな。
しかし最大の問題点は、「有機物質で発光」という部分だ。有機物質だから塗れますってのが,利点なんだろうが,それを差し置いても,「有機物質で発光」ってのは筋が悪い。有機ELを研究する人、宣伝する人ってのは,この点に目をつぶっちゃっているよね。電圧ってのはシグマ結合やパイ結合などの共有結合のエネルギーと比べると、非常に破壊的なのだよ。具体的にはこんな式がある。まあ正確には電圧ではなくてエレクトロンボルトだったりするんだが,その辺はあんまりどうでもいい。
光の波長(nm)=1240/電圧(V)
この式から例えば乾電池3本,つまり4.5Vを光の波長に変換してみると,275 nmのすっごい短波長の紫外線ってことになる。UV-Cって領域のあらゆる生物を殺しまくる殺人光線だ。お肌がなんちゃら,しみそばかすが,ってのだって280~315 nmのより長波長,低エネルギー領域である。乾電池3本分の電圧っていうとかわいいように思えるかもしれないが,有機化学をきちんと勉強した奴からすると,おっそろしい電圧なのである。要するに、それだけの電圧さえあれば,化学結合なんてズタズタなんだよ。現実的な有機ELのデバイスにはたしか10V以上はかけていたっけな。非常に無理をしているわけだな。こんな状況で、「なかなか寿命が伸びなくてね~」ってそりゃあたりまえじゃ。
一方,液晶では、光の発生と,シャッターを分けている。光の発生は冷陰極管や無機ELに担当させ,シャッターの役割には液晶に担当させている。光の発生という有機物質には地獄の苦しみの役割を,無機物質に御願いね♪ってしているわけだ。そしてシャッターにはそこまで有機物質に無理させることはない。電位をかけて配向はさせているが、あくまで電圧駆動であり,直接電流を流しているわけではないのだから。
それぞれの素材には、それぞれの利点欠点がある。そういう意味において,液晶ってのは,光の発生に無機材料を,シャッターに有機材料を,とそれぞれ適切に役割分担しているわけだ。
以上,有機ELは筋が悪いだろ。
寿命が伸びん~!歩留まりが悪い~!って,そりゃ当たり前だw まったくアホかw
人間社会でも何でも役割分担ってのは重要だよね。
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