パナソニックとソニーが有機ELテレビから完全に手を引くらしい。
以前、有機ELは筋が悪い、ってエントリーを書いたが、やっぱり無理筋だったか。ソニー、パナソニック、サムソンが手を引いて、一体どこが残ってんだろう?
久しぶりに城戸先生のブログを覗いて、一連の報道に対する反応をチェックしてみたが、可哀想な位泣き言がすごい。量産に対する問題点として彼は2つ挙げている。1つ目は透明電極としてのTFT基板の問題。もう一つは成膜。お、おう。って感じだな(笑)。正直全く説得力がない。だって、確かにその手の問題かもしれない。しかしながらそのプロセス技術というのは、液晶に関しても適応できるのだよ。つまり、有機ELが、そのプロセスの向上によって、実現可能となったときには、同時に、液晶のプロセスも同時に向上しており、相対的にその戦闘能力も上がってしまっているわけだ
それから、歩留まりが悪いというのは、これも本質的な問題だ。城戸先生は問題を矮小化しているようだが、歩留まりが悪いという事は、途中まで作っていたパネルがパーということなのである。材料が安いから、歩留まりが悪くてもいいや、と言う話ではないのだ。また歩留まりを下げているポイントそれ自体に、致命的な問題点がある。要するに材料劣化によって、ショートするんだろう。つまり、画素の中の一部分でもショートすればその一画素はお終い。液晶の場合は電圧駆動であるから、そもそもそんな問題は生じにくい。この電流駆動という点も問題だな。だってTFT基板を大電力流せるように作らなきゃいけないじゃん。だからこそのTFT基板を作るのが大変なんだろう?
昨年、紫綬褒章貰ったかどうか知らないが、城戸先生すらも威張りん坊病になっている気がする。あるいは、有機ELに未来がないのは本人が実は1番よく分かっていて、それでもその事実を、認めてしまうと、自分が今までやってきたことを全否定することになるわけだから、自分自身に、だいじょぶだぁ、だいじょぶだぁ、だいじょぶだぁ、と、自己暗示をかけている状態なのかもしれない(笑)。
まぁ確かに、うまくいかないからといって簡単に投げ出してしまうようでは、新しい技術は生み出されない。でもそれでは、周りにいる学生さん達が可哀想だ。いや、所詮学生にとっては、その研究は大学でのトレーニングにしか過ぎないのかも知れず、そーゆー意味では、クールにどうでもいいと考えているのかもしれない。
そもそも論として、大変気になるのが、いったいテレビで何見るの? 何かを聞きたい、だから音響機器があるわけだ。何かを見たい、だからテレビがあるのだろう? じゃ有機ELを使ったテレビを使って見たいものは一体何だい? テレビの視聴率が、明らかに下がってきているわけだ。そんな状況でテレビに何十万円も出すと思うのかね。。つまり、見たいものと、見せる装置は、車の両輪だということだ。見たいものがない状況で、見せる装置ばっかり頑張っても、意味がない。
さらに、いくら有機ELで大画面と言ったって、映画館にはかなわない。かなうわけがない。まず映画館では多数の人向けに利用できるが故に、最高級の映写装置が使える。遠近感が麻痺するほど、スクリーンが遠い。複数のスピーカーを使い、音量を大きく、かつ環境音を消すことができる。さてこの同じ環境を、自宅でできるかい? いくら良い有機ELのTVだって無理だ。まず家から作り直さなければならない(笑)。映画って、今1600円だっけ。32万円のテレビだったら、代わりに、映画に二〇〇回もいけるわけだ。。32万円で済むならいいよ。部屋の改造とスピーカーも必要。俺だったら画質あんまり関係ないものは、タブレットで見て、きちんと鑑賞したいものは、映画館で100回も見ればいいと思うね。とはいうが、最近のタブレットのフルHDの液晶画面は素晴らしい(笑)。き
有機ELを照明装置として利用する場合にも問題点があるな。例えば電気屋の、照明装置のコーナーに行って見ればわかる。光っている照明装置を直接見せられて頭が痛くなるだろう(笑)。面の証明は柔かいと言うけれども、直接照明は、面の証明になろうとも、決して柔らかくはならない。インテリアというものは、言い方を変えれば味のあるインテリアというものは、間接照明。これは照明の常識だ。間接照明にするのであれば、平面の照射装置は必要ない。無機ELで十分だ。どうせそっちの方が安いし、寿命も長い。絞ったスポット照明の方がむしろ照明をデザインしやすい。
と、色々愚痴ちゃったけど、技術者ってのはもともと博打うちみたいなもんなんだ。いつもいつも成功が約束されているわけじゃない。だからと言ってあきらめてしまっては進歩がないのも事実。だから大学のような研究機関では、成果主義というのは相性が悪い。だってハイリスクハイリターンだから大学でやる意味があるんだろう?ローリスクローリターンだったら企業でやればいいじゃん。でも産業はそれではいけない。だって給料もらって食って行かなきゃいけないから。だから戦略的撤退というのは、極めて、理性的だと思う。それを無視して、城戸先生は、信じて頑張れ、それ、1本やり(笑)。
理想論もいいけど、エゴイストもいい加減にしてくれないかな(笑)。博打うちは博打うちらしく自分を把握しなきゃ。企業が食って行かなきゃならんのよ。
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